言 葉よ み意味について出典
天少女あまおとめ・あまつおとめ天上に住むと考えられる少女。てんにん、てんにょ、あまおとめ、あまびと、あめびと。
(天女のように美しく舞うところから)五節の舞姫のこと。
日本国語大辞典
天掛・雨縣あまがかり和船の帆柱の部分の名称。穗柱を立てた時、船体の筒ばさみの上部に棕櫚縄(しゅろなわ)でくくりつける箇所。あまがらみ。日本国語大辞典
天語歌あまがたりうた上代歌曲。宮廷寿歌の一種で、天語連(あまがたりのむらじ)の伝えたものか。日本国語大辞典
天児あまがつ守りとして児童のそばに置き、凶事を移し負わせる形代(かたしろ)の役をさせる人形。木や竹で丁字形を作り、首をすげて衣裳を着せる。三歳になるまで用いるという。後世、絹の縫いぐるみで幼児の這う姿をかたどった這子(ほうこ)をもいうようになった。日本国語大辞典
天霧あまぎる雲、霧などがかかって、空が霞み渡る。空一面にどんよりと曇る。日本国語大辞典
天紅あまがべに日の沈む頃たなびく赤い雲。夕焼雲、おまんがべに。日本国語大辞典
天雲あまぐもの雲が、ゆくえ定めず空を漂うところから、「たどきも知らず」「たゆたふ」「ゆくらゆくら」「浮く」などにかかる。
雲が、空のはるか遠いところにあるということから、「奥処(おくか)も知らず」「はるか」などにかかる。
雲が、ちぎれて離れ離れになるところから、「別れ」「外(よそ)」などにかかる。
雲が、空を飛んで去ってしまうところから、「行く」「晴る」にかかり、飛び去っても再び戻って来るように見えるところから、「行き還(かへ)り」などにかかる。
日本国語大辞典
天衣あまごろも天人の着る衣。天人の羽衣。てんえ。てんい。日本国語大辞典
天棚あまだな炉の上に添乗から吊るした棚。火棚。天皿(あまざら)、火天(ひあま)。火高。あまだ。
天井の上をいう。転じて二階のこと。あまだ。あまごこ。
いろりの上に吊るした棚。佐渡島外海府・長野県西筑摩郡・山口県玖阿郡日積の方言。
日本国語大辞典
天地あめつち天と地。乾坤(けんこん)。宇宙、世界の全体。
天の神と地の神。天地の神。
日本国語大辞典
天地の歌あめつちのうた天地の詞の1字ずつを、第一字にまたは第一字と最後の字とに用いて作った和歌。日本国語大辞典
天地の袋あめつちのふくろ女子が新年に幸福を多く取り入れるようにと上下を縫い合わせて作る祝いの袋。日本国語大辞典
天地の道あめつちのみちすなわち陽(男)と陰(女)の筋道。自然の道理。日本国語大辞典
天地八方あめつちやも四方八方。全世界。日本国語大辞典
天水あまつみず天上の水。天にあるという神聖な水。また、天から降る水、すなわち雨水。日本国語大辞典
天津水あまつみず古語で、雨の別称。「天津」は「天の」「天にある」の意。天の水。すなわち天からもてらされる水で、雨のこと。雨のことば辞典
あめ天、空。
天つ神のいる処。高天原。また、神のいると信じられた天上界。
日本国語大辞典
天稚彦あめわかひこ天孫降臨に先だち、葦原の中つ国を平定するため高天原からつかわされた神。天国玉神(あまつくにたまのかみ)の子。命を果たさず、責任を追及しにきた雉(きじ)を矢で射殺したが、その矢を高皇産霊尊(たかみむすびのみこと)に射返されて死んだ。日本国語大辞典
天稚彦物語あめわかひこものがたり室町期物語。別名「七夕」ともいう。天上の異郷遍歴譚、難題説話、七夕の由来話、異類婚姻譚である。
昔、長者の家の前で女が洗い物をしていると、大蛇が現われ長者の娘をしれなければとり殺すと脅迫する。末娘が泣きながら承知する。池のほとりの家のむ中で17間の大蛇のいう通り、つめきり刀で大蛇の頭を切ると、直衣姿の美男子になった。2人は楽しく語らいあったが、この男は海竜王(天稚彦)で昇天する。その時、1夜ひさごを持って「天稚彦のおはするところはいづくぞ」と尋ねてこいという。夫の不在中、幸福を羨んだ姉たちによって夫からの禁句が破られ、2人は会えなくなる。女は天稚彦の跡を追って昇天する。ゆうづつ、箒星、すばる星などを尋ねて天上界を遍歴し、瑠璃の地の玉の屋で天稚彦と再会する。彼の父は鬼であり、「人の香がする」という。天稚彦は女を脇息、扇、枕などの姿に変えていったが、ついに招待が露見し、鬼の父は女にさまざまな難題を出す。野に数千の牛を飼育させ、倉米千石を運搬させられる。ムカデの倉や蛇の城に閉じ籠められる。たび重なる難も天稚彦の助力で逃れることができた。父の鬼が「月に1度会え」といったのを聞き間違えたため、2人は天の川で年に1回会うことになった。
原本の絵巻の奥書は後花園天皇辰筆という。この物語は、異類の男生と人間の女との結婚が語られているが、その発端は大蛇と末娘の犠牲という型である。天稚彦という名は神話中の人物名天若日子と同一である。「古事記」大国主神の根の堅州国の神話と交渉があると考えられる。神話では須勢理比売(すせりびめ)の父親須佐之男命(すさのおのみこと)から難題を課せられるが姫の助力を得て解決する。この物語の後半の天上界訪問と難題解決の部分は、男女の違いはあるが、内容は天人女房の昔話と一致する。なお、「天稚彦物語」と構想を異にした「あめわかみこ」があるが、これは公家の物語となっている。
日本昔話事典
天人女房てんにんにょうぼう天女が羽衣を奪われたため、男の妻となる異類婚姻譚。羽衣説話として全国で数多く伝承されており、現在役130話が報告されている。
大別すると、離別型・天上訪問型・七夕結合型に分けられる。
離別型は、天女が数人、沼(池・川・海岸)で水浴びしている。男が垣間見て、1人の羽衣を隠して妻にする。子供が2人(3人)生まれ、羽衣の隠し場所を教える。天女は稲束の下(天上・大黒柱・櫃)から羽衣を見つけ、子供とともに(1人で)飛び去る。この型は東北から沖縄まで分布し、役30話が報告されている。神女との婚姻は破局に終わるのが原則であり、異類婚姻型の中でも原型を残す神婚説話として伝説化され、各地に流布されている。神女の象徴である羽衣を失い、地上の男と結婚するが、ふたたびそれを手にした時は、元の神聖な身となり、天へ帰らなければならない。
天上訪問型は、男がこの天女を追って再会を求める型で、天女が昇天する時に夕顔(朝顔・豆・キュウリ)の種を残す。男は(子供とともに)馬、牛の沓1000足、ノミ、シラミなどの肥料をもって蔓を伸ばし、天上へ行く。天女の親が畑仕事の難題を出すが、天女(鳥)の援助で解決する。禁じられていた瓜を割って大洪水となり、天女と男は決別する。この型も全国に分布し、役60話が採集されている。
そして、流される途中に、7日7日に会おうと言ったのを、7月7日と聞き違える七夕結合型は役35話ある。
日本昔話事典